慢性血液透析患者の血清immunosuppressive acidic protein値

1989 
血液透析導入前より導入後1年までの慢性腎不全患者160例を対象として, 血清IAP値. 血清免疫グロブリン (IgG, IgA, IgM) 値, PHAおよびCon Aによる末梢血リンパ球の幼若化能およびモノクローナル抗体を用いた末梢血リンパ球subsetの解析を行った. なお健常者31例を対照群とした.慢性腎不全患者群の血清IAP値は血液透析導入前では717±49μg/mlであり, 対照群の424±51μg/mlに比し有意に (p<0.001) 高値であったが, 血液透析導入後次第に低下し導入後4か月では509±39μg/mlで対照群との間に有意差は認められず, 以後1年目まで著明な変動は認められなかった.慢性腎不全患者の血清免疫グロブリン (IgG・IgA・IgM) 値は, 血液透析導入前後において有意の変動は認められず, 対照群との間にも有意差は認められなかった. また血清IAP値と血清IgG・IbA・IgM値の間には有意な相関は得られなかった.血清IAP値と細胞性免疫能との関係をみると, 血清IAP値とT cell mitogenによる末梢血リンパ球幼若化能とのあいだには有意な負の相関関係を認めたが, OKT-4/OKT-8陽性細胞比との間には有意な相関は認められなかった.これらの結果から, 慢性腎不全患者において, 血液透析導入による血清IAP値の低下と細胞性免疫能との関連性が示唆された.
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