炉心損傷事象(CDA)における線源移行挙動解析モデルの整備
1999
高速増殖炉実証炉では、炉心が大型化し燃焼度が増大するため、炉内の核分裂性生物(FP)の蓄積量が増加する。また高速増殖炉(FBR)の実用化時代には、超ウラン元素(MA)の燃焼と超長半減期核分裂性生物(LLFP)の消滅処理など、FBRの多目的化が推進され炉心内のFP保有量は原型炉に比べ大幅に増加する。FP保有量の大きいこれらの将来炉において、炉心損傷事象(CDA)によるリスクを低減するためには、炉心および-次冷却系各部のFP分布を的確に把握し適切な事故管理を実施する事が重要である。このためには、CDA特有のFP移行挙動を評価出来る手法を整備し高度化することが必要である。本契約業務の目的は、上記観点から、線源移行に係わる最新の実験的知見と一次冷却系線源移行挙動解析コード(TRACER)の実機適用性検討に基づいて、実証炉及び実用炉に適合したCDA時FP移行挙動評価手法を整備すると共に、評価手法の検証方策を提案するところにある。本契約業務では、実証炉体系における代表的なCDAである炉心流量喪失時スクラム失敗事象(ULOF)の起因過程を対象として、TRACERコードの実機適用性を検討した。ここでは、事故解析コード(ARGOコード)により求めたULOF起因過程における炉心状態にTRACERコードを適用し、損傷燃料から一次系ナトリウムへのFP移行挙動を評価した。更に、一次冷却系ナトリウム、-次系構造材壁面、およびカバーガス空間などの一次冷却系各部に蓄積された揮発性および不揮発性FPの空間分配挙動の特性を評価した。これらの結果に基づいて、TRACERコードの物理モデルの必要改良項目を摘出した。現状のTRACERコードでは考慮されていないカバーガス中の輻射現象によるカバーガス昇温挙動などについては、簡易解析モデルを作成しその効果を定量化することによって今後のモデル改良の方針を明らかにした。更に、燃料損傷の非同時性の大きい大型炉心のCDA事象推移に整合した線源移行挙動解析モデルを確立する観点から、起因過程解析コードSAS4Aとの接続条件及び組み込み条件を明確にした。
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