らい (ハンセン病) 患者の透析療法について

1993 
国立療養所多磨全生園において1978年4月から1990年12月末までに22例の腎不全を合併したらい患者の透析療法を行った. 急性腎不全の1例を除いた慢性腎不全の21症例について透析療法の導入に至る経過, 原疾患, 透析導入時の諸検査成績, ブラッドアクセスの状況, 諸薬剤の使用効果, 透析療法の効果, 副作用および合併症, 透析療法のらいの経過に及ぼす影響, 剖検を行った症例についてはその所見について検討し, 以下の知見を得た.1. 透析療法を行うに至った患者のほとんどの症例は長期にわたって蛋白尿を指摘されており, また高血圧の病歴を持つものが多かった. 蛋白尿, 高血圧につづいて貧血の合併が高頻度に見られた.2. 腎不全の原疾患として, らいに特異的と思われる病変は認められなかった. 剖検での腎の所見は動脈硬化性萎縮腎, 慢性増殖性糸球体腎炎, 腎アミロイド症, 間質性腎炎, 嚢胞腎, 動脈硬化性腎硬化症, 嚢胞腎+腎盂腎炎などであった. 糖尿病性腎症の症例はなかった.3. 21例中18例に内シャントを作成したがすべて使用可能であった.4. 活性型ビタミンD, 遺伝子組換えヒトエリスロポエチン (rHuEPO) など一般の透析療法患者に使用される薬剤はいずれも期待される効果が得られた.5. 透析療法はらいの臨床的経過に特別な影響を与えないものと思われた.6. 1回4-5時間, 週2-3回の血液透析で患者を長期間良好な状態に維持できた.7. 剖検での腎のアミロイド沈着が高頻度にみられた.
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