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Pathophysiology of airway mucosa.

2002 
気道は,外界と接する臓器であり,常に吸気とともに異物を取り込んでいる.しかし,気道粘膜における種々の組織により,異物による感染や気道炎症から生体は防御されている.気道粘膜には,異物排除や湿度調整に重要な気道上皮,粘液分泌およびIgA抗体の放出に関与する粘膜下腺ならびにIgA産生やリンパ球のホーミングに重要な気管支関連リンパ組織が存在し,それぞれ粘膜免疫に関与している.一方,気道粘膜における代表的な疾患として気管支喘息が挙げられる.近年,基礎および臨床における研究により,特にアトピー型気管支喘息の病態解明が進められている.すなわち,その特徴であるIgE産生には,ヘルパー2型T細胞(Th2)から主として産生されるIL-4やIL-13などのサイトカインおよび細胞膜上の補助因子であるCD40とそのリガンドが重要であり,気道内好酸球増多には,分化·増殖因子であるIL-5ならびに細胞膜上のケモカイン受容体CCR3が重要であることが明らかにされている.一方,呼気性呼吸困難症状とも密接に関係する気道過敏性の発症機序に関しては不明な点が多いが,近年,遺伝子改変マウスを用いた検討により,Th2サイトカインなどの種々の機能分子の関与が推察されている.さらに,難治化·重症化に気道組織の器質的変化,すなわち気道リモデリングが注目されている.気道リモデリングは,上皮の肥厚,杯細胞の過形成,上皮基底膜下の線維化ならびに気道平滑筋の肥厚·過増生を特徴とし,気道壁の肥厚により内腔の狭小化が起こり,結果として気道過敏性あるいはβ2刺激薬などに対する反応低下を招いている可能性が推察されている.これらの病態に対し,近年,サイトカインに対する中和抗体などを用いた治験が進められているが,気管支喘息が多因子疾患であることを考えると,今後,複合的な機能分子の抑制が重要なアプローチになるものと思われる.
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