クリオグロブリン血症,リウマチ因子,低補体価に対するHCVの病因的関連が示唆されたC型慢性活動性肝炎の1例

1995 
症例は30歳,女性.1987年頃から37℃台の微熱と全身倦怠感が持続し,持続する低補体価とリウマチ因子(RF)陽性も指摘されていた.1991年にはC型肝炎ウイルス(HCV)による肝障害が判明し,強力ネオミノファーゲンCRによる治療が開始されたが,肝酵素の変動を認めるために入院となった.肝生検組織像はヨーロッパ分類CAH-2B相当の慢性活動性肝炎であり,インターフェロン(IFN)β(600万単位/日,8週間連日)による治療が開始された.IFN投与によりHCV-RNA量の低下や肝酵素の正常化を認めるとともに,クリオグロブリン(CG)の消失,免疫複合体やRFの低下,低補体価の改善,および年余にわたる自覚症状に改善が認められた.本例の経過からは,これらの免疫異常に対するHCVの病因的関与が推察されるとともに,ウイルスの減量のみによってもCG血症が改善する可能性が示唆された.したがって,HCVの関与が示唆されるCG血症患者に対しては,ウイルスの減量を目的とした積極的なIFN治療が試みられるべきものと考えられた.
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