Why are individual differences in the hearing ability so great in the elderly
2008
聴力の加齢に伴う変化は個人差が大きく, その個人差には, 内的要因としての遺伝子多型と数多くの外的要因の関与が考えられる。これらを明らかにしていくことが, 高齢者の聴力の低下を予防して, 高齢者が豊かな老後を過ごすために重要である。われわれは名古屋市内の12万人の18年間にわたる大規模な追跡のデータから, 聴覚の加齢変化を確認するとともに, 国立長寿医療センターで行っている住民調査の結果をもとに, 高齢者の聴力に個人差を生じさせる因子を中心に解析を行った。加齢によって聴力は高音域ほど低下し, 男性は女性よりもその影響が大きかった。また1989年以降の18年間ですべての年代で聴力は低下していた。聴力の加齢変化には遺伝子多型の影響が大きかった。糖尿病, 虚血性心疾患, 腎疾患などの慢性疾患が聴力と関連しており, 特に動脈硬化との関連が大きかった。また騒音曝露, 喫煙と聴力との関連が認められた。
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