Role of Adhesion Molecules in Tonsillar Focal Infection

1998 
扁桃病巣感染症における扁桃リンパ球の役割と細胞接着分子の関与について検索する目的で,扁桃病巣感染症の代表疾患である掌蹠膿疱症を検索対象として,その患者扁桃リンパ球の病変皮膚への付着と各病変部位における細胞接着分子の発現について検討した.症例は掌蹠膿疱症患者21例(男性:女性=11:10,平均年齢41.9歳)および皮膚疾患を有さない健常者3例(男性:女性=2:1,平均年齢50.7歳)であった.まず掌蹠膿疱症患者の手掌または足蹠皮膚切片に対し通常のFicoll Hypaque比重遠心法にて分離して作製した扁桃リンパ球浮遊液を反応させた.この結果,扁桃リンパ球は膿疱期においては膿疱直下の真皮内血管,膿疱周囲の表皮,および真皮乳頭内を走行する血管に付着し,紅斑期においても真皮内血管と真皮乳頭内血管に付着がみられた.さらにヒト血管内皮細胞に対する扁桃リンパ球の付着が抗LFA-1抗体により抑制されることが判明した.以上のことより,扁桃リンパ球が掌蹠皮膚に親和性を有する可能性が示唆され,その接着系においてLFA-1 ICAM-1経路が重要な経路の一つであると考えられた.さらに掌蹠膿疱症の各病変部位における細胞接着分子の発現について免疫組織化学的検索を行ったところ,紅斑期と膿疱期に浸潤する細胞はCD3陽性で,CD4賜性細胞が大半を占めていた.LFA1はこれら浸潤細胞に強陽性であり,リガンドであるICAM-1も真皮内血管,表皮ケラチノサイト.浸潤細胞において陽性であった.さらにICAM-1は肉眼的正常部においても発現が認められた.E-selectinは紅斑期,膿疱期を通じ真皮内血管に発現していた.以上のことより,掌蹠膿疱症において,特に初期のT細胞浸潤に細胞接着分子が重要な役割を果たす可能性が示唆された.
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