疥癬―人獣の代表的neglected disease

2010 
センコウヒゼンダニ(Sarcoptes scabiei )の 1 変種である S. scabiei var. hominis の寄生によるヒトの疥癬scabies は,数千年にわたって人類を悩ませてきた感染症(contagious disease)であり,現在も世界で 3 億人,日本国内でも年間 8~15 万人の患者が発生している公衆衛生上の重要疾病である.S. scabiei は家畜や野生動物にも寄生して世界的に大きな被害を与えているが,その本来の宿主はヒトであることが系統発生学的に判明している.すなわち,var. hominis が家畜化された動物に寄生するようになって,イヌ寄生性の var. canis やブタ寄生性の var. suis などの変種となり,これらの家畜寄生種が野生動物寄生性の変種に転じたと推測されている.動物に疥癬を起こすヒゼンダニ類(Psoroptidia)は多種多彩であるが,ヒトの疥癬はもっぱら S. scabieiに起因することから,本稿では S. scabiei に焦点を絞って分類や生態の解説を行う.
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