1,5,9-シクロドデカトリエンを出発原料とするジメチルアダマンタンの合成

1986 
1,3-ジメチルアダマンタン(DMA)は二つの官能基をもつ合成中間体の原料として=有用である。石油化学製品から出発するDMA合成経路を探索した。1,5,9-シクロドデカトリエン(CDT)の渡環閉環反応(CDT転位反応)によるアセナフテン骨格を有する混合物(アセナフテン類)の合成,ついで,アセナフテン類の水素化によるペルヒドロアセナフテン(PHA)の合成,最後に,PHAめ二元機能触媒ぞ きほを用いる,転位反応によるアダマンタン類の合成について検討した・CDT転位反応は酸触媒上で進行するが副生重合物による劣化が避けられず,触媒の再生が必要になると考え,再生可能な固体酸の中から触媒探索を行なった。複合酸化物系;(SiO2-Al2O3,TiO2-Al2O3,SiO2-ZnO,TiO2-MgO),金属硫酸塩系(M;Al,Ni,Fe,Co,Zn)よりも,Ca-Na-Y系,La-Na-Y系の活性が高ぐ,従来から知られていた固体リン酸触媒の性能と同等であった。固体リン酸触媒の場合,ポリリン酸は昇華性があるため,再生使用が困難であると考えられる。それに反し,Y型ゼオライト系の場合・再生使用できることを確認した。金属(Pt-Re)担持RE-Y触媒を用いて,水素-塩化水素共存下で,PHAのアダマンタン類への転位反応を行なった。その結果,転化率99%,アダマンタン類収率77%であった。これらのことから,CDTからDMAの合成が,工業的にも可能であると思われる。
    • Correction
    • Source
    • Cite
    • Save
    • Machine Reading By IdeaReader
    0
    References
    2
    Citations
    NaN
    KQI
    []