ボノプラザンによるPPI 抵抗性および新規胃食道逆流症(GERD)患者の症状およびQOL 改善効果の検討

2017 
背景:胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン2015 ではGERD 診療においてPPI(protonpump inhibitor)が第一選択薬とされているが,症状の改善に十分満足していない患者の存在が問題となっている。目的:①従来のPPI による治療で満足していないGERD 患者,および②症状を有する新規GERD 患者を対象にカリウムイオン競合型アシッドブロッカーであるボノプラザンによる症状改善効果,およびQOL の改善効果を検討する。対象と方法:対象は①従来のPPI によるGERD 治療を8 週以上内服治療を行ったにもかかわらず,GERD 症状の改善効果に満足していない,いわゆるPPI 抵抗性GERD 患者37 例,および②上部消化管内視鏡検査を施行し,逆流性食道炎を認め,かつ症状を有する新規GERD患者159 例。①に対してはボノプラザンへの変更前後に,②に対してはボノプラザン投与前後に,症状はFSSG にて,QOL は出雲スコアを用いて評価した。結果:①PPI 抵抗性GERD 患者にPPI からボノプラザン20 mg/日に変更したところ,FSSG総合スコアは平均6.2 点低下(酸逆流関連症状3.6 点低下,運動不全症状2.6 点低下)を認め,いずれも統計学的に有意差を認めた。出雲スケールは,総合スコアで平均8.3 点低下(胸やけスコア1.8 点低下,胃の痛みスコア1.2 点低下,胃もたれスコア2.1 点低下,便秘スコア1.7点低下,下痢スコア1.5 点低下)を認め,いずれも統計学的に有意であった。②新規GERD 患者に対してボノプラザン20 mg/日を投与したところ,FSSG 総合スコアは平均6.8 点低下(酸逆流関連症状4.0 点低下,運動不全症状2.8 点低下)していた。出雲スケールは,総合スコアで平均9.5 点低下(胸やけスコア2.1 点低下,胃の痛みスコア2.2 点低下,胃もたれスコア1.7 点低下,便秘スコア1.4 点低下,下痢スコア2.1 点低下)を認めた。いずれのスコアも統計学的に有意であった。結論:ボノプラザンによるGERD 治療は,従来のPPI で満足していない症例にも新規患者に対しても有用である可能性が示された。
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