過硫酸塩によるリグニンモデル化合物( ポリp-オキシスチレン) のゲル化
1968
リグニンは重クロム酸塩のみならず, 過硫酸塩によってもよくゲル化することを見出したので, リグニンのモデル化合物としてポリかオキシスチレン( PHS ) を使用し, そのゲル化機構とゲル化におよぼす諸因子の影響について検討した。1) アルカリ性過硫酸塩によるPHS の酸化反応の速度式が, p-クレゾール( PC ) のそれと同じであることから, PHS のゲル化はPC のそれのようにフェノキシラジカルのカップリングによって起こるのであろうと推定した。リグニンおよびPHS はラジカルを生成する他の酸化剤によっても同様にゲル化する。2) ゲル化点でのPHS の数平均重合度の増加は元の2 倍以下であるが, ゲル化に消費される過硫酸塩の量はかなり多いから,過硫酸塩は相当量の副分解をうけるのであろう。3) ゲル化速度はPHS の濃度が高いほど指数関数的に速くなる。しかし, カセインーダの濃度については, 薄いほどゲル化速度は速く, 過硫酸塩の消費量も少ない。過硫酸塩の濃度に対してはゲル化速度は直線的に増加する。しかし, ゲル化するまでに消費される過硫酸塩の量は濃度に無関係に一定である。ゲル化反応の温度係数は約2 倍, 活性化エネルギーは12.2kcal である。これは過硫酸塩の副分解の値(12.9kcal) と大差がない。
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