VeIP療法が奏効したPEP(BEP)療法抵抗性卵巣未分化胚細胞腫の1例

2009 
卵巣胚細胞性腫瘍はまれな疾患であるが,化学療法(bleomycin+etoposide+cisplatin 併用療法: BEP 療法)が有効であることが知られている。しかしながら,BEP 療法抵抗性の卵巣胚細胞性腫瘍に対するsecond-line chemotherapy は確立されていない。今回われわれは,pepleomycin+etoposide+cisplatin 併用療法: PEP(BEP)療法抵抗性の卵巣未分化胚細胞腫に対し,second-line chemotherapyとしてvinblastineifosfamide+cisplatin 併用療法(VeIP療法)が奏効した1 例を経験したので報告する。症例は初診時14歳,右腰背部痛を主訴に近医総合病院を受診した。超音波検査にて右卵巣腫瘍茎捻転(直径11 cm)の診断で右付属器摘出術を施行された。術後の病理検査で卵巣未分化胚細胞腫と診断され,当科紹介となった。初診時から2 年2 か月の時点でhCG-CTP が1.4 mIU/mLに上昇し,骨盤造影MRIにて左卵巣の腫大(6.0×4.0×4.7 cm)を認め,卵巣未分化胚細胞腫の再発(左卵巣転移)と診断した。初回化学療法としてPEP(BEP)療法を4 コース施行し,CR となった。初回化学療法後6 か月でhCG-CTP が14.5 mIU/mL に再上昇し,骨盤造影MRI で左卵巣腫大(4.0×2.5×3.0 cm),PET-CT検査でも左卵巣にup take を認めたため,卵巣未分化胚細胞腫の再々発と診断した。左卵巣部分切除術を施行,迅速病理組織診断にて再発と確定し,術中CDDP 腹腔内投与(100 mg/body)を施行した。術後VeIP療法を6 コースを施行,SLLにて左卵巣生検を施行し,pathological CR を確認した。VeIP療法後2 年経過した現在,無病生存である。腫瘍径10 cm以上の卵巣未分化胚細胞腫は悪性度が強く,治療抵抗性を示すことがあると考えられ,本症例のようなPEP(BEP)療法に抵抗性を示す卵巣未分化胚細胞腫に対しVeIP療法が有効である可能性が示された。
    • Correction
    • Source
    • Cite
    • Save
    • Machine Reading By IdeaReader
    0
    References
    0
    Citations
    NaN
    KQI
    []