高齢者糖尿病患者における動脈硬化性血管障害とLp (a) の関係について

1997 
Lipoprotein (a) [Lp (a)] は, 動脈硬化性血管障害の独立した危険因子として注目されているが, 糖尿病患者, あるいは高齢者での意義は明らかでない. そこで, 今回高齢者糖尿病患者において血清Lp (a) 値と脳血管障害 (CVD), 虚血性心疾患 (IHD) との関連を検討した. 対象は外来通院中の60歳以上の糖尿病患者354例 (男性131例, 女性223例, 平均年齢74.1歳) で, 血清Lp (a) 値を測定し, 性別, 加療の影響を検討した. さらに血清脂質 (総コレステロール: TC, 中性脂肪: TG, HDLコレステロール: HDL-C, アポ蛋白) を測定し, Lp (a) 値との関連を検討した.Lp (a) の平均値は21.1±19.6mg/dl, 中央値は14.0mg/dlで, 性別, 加齢の影響はなかった. 脂質では, Lp (a) 値とTC (r=0.152, p<0.05). リポ蛋白B (r=0.168, p<0.05) 間で有意な正の相関が認められた.次に対象をLp (a) 値に従いLp (a) 高値群 (≧30mg/dl) と低値群 (<30mg/dl) に分けIHD, CVDの合併頻度を比較したところ, Lp (a) 高値群のCVDの頻度は低値群に比し有意に高く (21.1% vs 11.9%, p<0.05), 一方, IHDの頻度は高値群と低値群間に有意差はなかった (20.0% vs 16.8%).さらに年齢, 性別, Body Mass Index, 高血圧 (HT), HbAlc, TC, HDL-C, Lp (a) の8変数を独立変数とし, IHD, CVDの独立した危険因子となるか否かについて多変量解析を用いて検討した. Lp (a) 高値は, 男性, HT, HbAlc高値, HDL低値とともに, CVDの独立した有意な (p=0.008) 危険因子であることが明らかとなったが, IHDの独立した有意な危険因子とはいえなかった.今回の検討により, 血清Lp (a) 高値は高齢者糖尿病患者においても, 脳血管障害の独立した危険因子となることが示された.
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