両側肺動静脈瘻および左肺静脈狭窄を合併した多脾症候群に対する完全右心バイパス手術の1例 : 半奇静脈前方転位および半奇静脈-肝静脈直接吻合

2007 
症例は1歳7ヵ月,女児,診断は多脾症候群,単心房,右室系単心室,左側上大静脈,下大静脈(IVC)欠損.Total cavopulmonary shunt (TCPS)術後に両側肺動静脈瘻(PAVF)が発生し,同時に,拡張した半奇静脈と心房の間で圧迫されて,左肺静脈狭窄(PVO)も合併していた.PVOの解除を目的として半奇静脈前方転位を行い,両側肺循環への肝静脈血流の付与を目的として半奇静脈-肝静脈直接吻合を行う完全右心バイパスを施行した.術後9ヵ月のカテーテル検査でPAVFは消失しており,また,通路狭窄もなかった.本術式の利点は,1)半奇静脈経由で肝静脈血を肺に流すことで左右均等な血流分布が構築できること,2)半奇静脈の拡張によるPVOが解除できること,3)自己組織の成長も期待できることであり,IVC欠損の単心室群に適応可能な術式と考えられた.
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