Gabexate mesilate (GM) 透析におけるGMおよびその代謝物の動態 (第2報) GM反復回路内持続注入後のGMおよびその代謝物の体内動態

1988 
出血傾向の強い腎不全患者に対し, ヘパリンを用いた血液透析を施行することは出血傾向の増悪という大きな危険を伴うために, このような患者には局所抗凝固法の1つとしてgabexate mesilate (以下GM) を用いた血液透析が試みられている. 今回, 我々は腎不全患者5例に各5回のGM 1,600mg/hrによる血液透析を施行し, 透析液中, 血液中, 血漿中および尿中のGMおよびその代謝物を高速液体クロマトグラフ (HPLC) で経時的に測定した.透析回路動脈側 (第1採血部位) の全血中GM濃度は透析開始後1, 3および5時間ではそれぞれ101.30±50.72, 89.46±51.46および72.16±25.21nmol/mlとなり, 増加傾向は認められなかった. また, 透析回路静脈側 (第2採血部位) のGM濃度は透析開始後3時間では8.78±8.62nmol/mlとなり動脈側の約1/10であった. 一方, 末梢血中のGM濃度は透析開始後1, 3および5時間ではそれぞれ1.38±1.04, 1.03±0.57および1.04±0.78nmol/mlで透析中はほぼ同じ濃度で推移した. また, GM投与3回目および5回目5時間後の末梢血中GCA濃度はそれぞれ482.11および472.51nmol/ml総Benzoate濃度はGM投与1回目, 3回目および5回目5時間後ではそれぞれ274.36, 295.74および270.70nmol/mlと増加傾向は認められなかった.GM投与1回目および5回目の透析液中にGCAはそれぞれ8.11mmolおよび19.82mmol, また, 総Benzoateはそれぞれ4.35mmolおよび8.79mmolが排除され, 未変化体は認められなかった. 一方, 尿中へのGCAおよび総Benzoateの排泄はいずれも1回投与量の1%以下であった.GM透析から通常のヘパリン透析に切り換えると血漿中代謝物は減少し, 1ヵ月後にはほとんど検出されなかった.
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