大腸癌における抗EGFR 抗体薬と分子マーカーとしてのEGFR を介したシグナル伝達因子
2009
抗EGFR 抗体薬はEGFR の細胞外ドメインに結合し,リガンド依存性のEGFR 下流シグナル伝達を阻害する分子標的薬である。近年,わが国においても進行大腸癌に対する新規の分子標的薬として抗EGFR 抗体薬の使用が可能となり,大腸癌の薬物療法の成績はますます向上することが期待されている。さらに,その効果予測のための分子マーカーに関する研究も進んでおり,効果の期待できる患者を選択するいわゆる個別化医療が必要とされてきている。海外において大腸癌における抗EGFR 抗体薬の分子マーカーとしてKRAS 遺伝子の変異の有無が重要であることが示され,その他にもEGFR のシグナル伝達系に属するBRAF,PIK3CA 遺伝子変異あるいはPTEN 蛋白質の発現と抗EGFR 抗体薬の感受性との相関関係が示唆されている。今後,実際の臨床においてどの分子マーカーの検査をどのように組み込んでいくのかが課題となるであろう。
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