Layering structures of gabbros of the Oman ophiolite

2002 
オマーンオフィオライトはアラビア半島の東端に露出する世界最大級のオフィオライトで, 海洋地殻・上部マントル研究のメッカとなっている. 本オフィオライトには厚さが1~4kmの斑れい岩層が連続的に存在しており, 高速拡大軸で形成されたとする一つの根拠とされている(Nicolas, 1989). 斑れい岩は, 下位からモホ漸移帯斑れい岩, 層状斑れい岩, フォリエイテッド(foliated)斑れい岩, 上部斑れい岩の順に累重する. Fig.1 はシート状岩脈群と斑れい岩との境界部付近を示している. 上部斑れい岩は一般に不均質で, Fig. 2のように急激な結晶成長を示す樹枝状構造が観察されることもある. フォリエイテッド(foliated)斑れい岩は面構造は発達しているが, 比較的均質な岩相を示す. 層状斑れい岩には多様な層状構造が観察され(Fig. 3), 級化成層もしばしば認められる(Fig. 4), モホ漸移帯斑れい岩では, 優黒部と斜長石濃集部がシャープに繰り返す層状構造がしばしば観察される(Fig. 5). 層状構造は, 下位ではマントルー地殻境界(モホ面)に平行で, 上位ではシート状岩脈群の貫入面に収敏していく. この事実は, 斑れい岩の層状構造が上方に向かって水平から垂直方向へと変化することを示している. 層状構造と海嶺軸との関係や層状構造の形成メカニズムについては様々な見解がある(宮下ほか, 2002).我々は, オマーンオフィオライト北部で興味ある構造を幾つか見い出した. Fig. 6.Aは上位の構造が下位の構造に斜交している斜交葉理様構造である. Fig, 6. Bでは下位の構造が上位の構造によって切られている. クリスタルマッシュ内での流動は, 斜長石やマフィック鉱物の配列による線構造によって示される. Fig. 7は褶曲構造を示しているが, 規模の大きな褶曲構造は線構造に垂直方向の壁面で観察される. 著しい擾乱構造は斑れい岩層の比較的中~上位で観察されることが多い(Fig.8). Fig.9は大規模なトラフ構造と思われるもので, 下位のコントラストの著しい層状構造が上位の比較的塊状の斑れい岩によって削り込まれている. こうした構造の空間的な分布の特徴を検討していくことによって, 海嶺下でのマグマの運動像が解明されるであろう.
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