胆嚢頸部癌を併存した黄色肉芽腫性胆嚢炎(xanthogranulomatous cholecystitis)の1例

1998 
症例は65歳の男性. 右季肋部痛を主訴に当科受診. 超音波検査で胆嚢は浮遊物を含む胆汁で緊満腫大し, 底部に径5cm大の内部不均一な腫瘤を認めた. 腹部CTでは底部腫瘤と腹壁や横行結腸間膜との境界が不明瞭であり, 血管造影では胆嚢底部に血流に富む腫瘤影を認めた. ERCPでは胆管は造影されるも胆嚢は頸部で完全閉塞し造影されなかった. 以上より胆泥を充満する胆嚢底部原発胆嚢癌と診断し, 癒着していた周囲組織を含み拡大胆嚢摘出術を施行した. 切除標本の検索で術前指摘されていなかった丈の低い隆起性病変を頸部から胆嚢管にかけて認めた. 術中迅速病理検査では底部腫瘤は黄色肉芽腫性胆嚢炎 (XGC), 頸部病変は腺癌と判明し, 胆管切除術および2群+16番リンパ節郭清を追加した. 最終診断はGn, circ, 結節浸潤型, P0, H0, n0, ss; stage IIであった. XGCと胆嚢癌の鑑別は画像上は困難である. 両者合併も念頭に置き, 術中に正確な診断を下すことが重要である.
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