Desaturation Index を用いた睡眠時無呼吸症候群と高血圧の検討

2000 
いびきを伴い睡眠時無呼吸症候群 (sleep apnea syndrome; SAS) が疑われた41名の患者 (28歳から79歳, 平均年齢60.5±1.7歳, 男性:女性=31:10) を対象に我々がこれまで開発した連続的終夜呼吸監視モニターシステムを用い, (1) Desaturation Index (DI) を指標とし, 無呼吸のタイプ別に低酸素状態と高血圧の頻度を検討し (2) SASにおける低酸素血症と高血圧の関連性を検討した. 中枢性無呼吸の頻度が50%以上の患者を中枢性グループ (n=8, 平均年齢58.6±2.9歳, 平均BMI 21.3±1.0, 男性:女性=7:1), 閉塞性無呼吸と混合性無呼吸が50%以上の患者を閉塞性グループ (n=21, 平均年齢70.0±3.2歳, 平均BMI 25.3±1.0, 男性: 女性=17:4) と定義した. 残りの患者はコントロールグループ (n=12, 平均年齢64.3±2.3歳,平均BMI 23.8±1.2, 男性:女性=7:5) と定義した. 有意な低酸素 (significant desaturation: SDS, SpO2が基礎値より5%以上低下する範囲) と Desaturation Index (DI: ΣSDS (%)×duration (hour)) をこのシステムで測定し, 各グループで比較検討した. 中枢性グループと閉塞性グループのDI (△5%)を比較したところ中枢性グループのDI (△5%) は0.34±0.17, 閉塞性グループのそれは1.78±0.7であり, 閉塞性グループのDI (△5%) はコントロールグループに比べ有意に高値をとっていた (p<0.02). 中枢性グループのDI (<90%) と閉塞性グループのDI (<90%) を比較すると前者は0.14±0.07, 後者は1.72±0.75であり, 閉塞性グループのDI (<90%) はコントロールグループや中枢性グループに比較し有意に高かった (p<0.05). SpO2のベースラインやナディアには両群間に差を認めなかった. コントロールグループには高血圧患者は4名 (33.3%), 中枢性グループには4名 (50.0%), それに対し閉塞性グループには15名 (71.4%) 認められ, 高血圧の頻度は閉塞性グループがコントロールグループに比べ有意に高かった (p<0.05). 一方, BMI (body mass index) と年齢には両群間に差を認めなかった. 平均血圧値とAI (apnea index) の間には有意な正の相関が得られた. それに対しDI (△5%) やDI (<90%) と血圧には相関関係がみられなかった. また高血圧グループと非高血圧グループのAIを比較検討すると前者は19.8±2.9, 後者は7.0±2.0と, 有意に高値をとっていた (p<0.001). また高血圧の有無だけではBMIと年齢には有意差を認めなかった. 以上の結果より, 閉塞性無呼吸は中枢性無呼吸に比べ高血圧を合併する危険性が高いこと, また低酸素血症より無呼吸の重症度がSASにおける高血圧の発症原因に関与している可能性が示された.
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