Dose adjustment of heparin in the hemodialysis after vascular intervention
2004
透析患者でも冠動脈造影術や経皮的血管拡張術を受ける機会が増加している. これらの術中にはヘパリンを多量に使用するほか, 術後から透析までの時間が異なるため, 術後透析時のヘパリン管理は難しい. そこで, われわれはこのような症例に対して, 透析終了時のACT (Activated Coagulation Time) を通常維持透析に近づけることを目的に造影検査後のヘパリン管理マニュアルを作成した. 作成したマニュアルは, 透析開始時にACTを測定し, ACTの値によりヘパリン使用量を変更する方法である. 調整方法としては, 1) 透析開始時ACTが200秒以上: 未使用で開始し, 2時間後のACT値によってヘパリンを使用する. 2) 透析開始時ACTが150-200秒: ヘパリンは通常の半分量, 3) 透析開始時ACTが150秒以下: 通常量の3種類である. 今回, このマニュアルの有用性を確認するため, 造影検査後透析群50例と通常透析群50例それぞれの透析開始時, 2時間後, 終了時のACT値を比較検討した. その結果, 透析開始時のACTの平均は造影を行わない通常の透析群が103.6±14.2秒であったのに比べ, 造影検査後透析群では173.6±65.1秒と凝固時間は70秒も長く, 標準偏差も大きなばらつきを示した. 透析開始2時間後ではACTの平均が通常透析群の127.5±22.8秒に対して造影後透析群は150.5±39.4秒と差が22.5秒に縮まり, 標準偏差も開始時に比べてばらつきは小さくなっている. 透析終了時では通常透析群の119.3±18.8秒に対して造影後透析群は133.7±25.0秒と14.4秒差に縮まり, 標準偏差も近似していた. われわれの行っているマニュアルによってヘパリン管理が容易になった.
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