術前化学療法により腹腔鏡下にて肛門温存手術が可能となった下部直腸GIST の1 例

2013 
症例は30 代,男性。排便時違和感にて近医を受診し,直腸粘膜下腫瘍の診断にて当院紹介受診となった。大腸内視鏡検査,穿刺生検にて下部直腸GIST と診断された。MRI にて左肛門挙筋への浸潤を疑う所見を認め,根治切除には直腸切断術が必要と考えられた。十分な説明・同意の下,術前イマチニブ療法を行い,腫瘍縮小によって肛門温存手術が可能となることをめざした。投与開始11 か月後のMRI にて腫瘍の縮小を認めたため,腹腔鏡下に肛門温存手術を施行した。血管温存,TMEの層で直腸を授動し,経肛門的に内・外括約筋間を剝離,全層部分切除にて腫瘍を摘出,経肛門吻合,回腸一時ストーマ造設にて手術を終了した。術後合併症なく退院し,肛門機能はほぼ保たれている。病理学的に腫瘍は著明な治療効果を認め,切除断端は陰性であった。直腸GIST に対する機能温存手術をめざした術前化学療法は有用な治療選択の一つとなり得ることが示唆された。
    • Correction
    • Source
    • Cite
    • Save
    • Machine Reading By IdeaReader
    0
    References
    0
    Citations
    NaN
    KQI
    []