Effects of copper supplementation on lipid profiles in elderly patients with copper deficiency

目的 高齢の銅欠乏患者に対して銅補充をおこない，銅が血清脂質に与える影響を検討する．方法 血清銅濃度が15μg/dl(基準値 70∼140μg/dl）以下と高度に低下した銅欠乏状態の長期寝たきり高齢の経管栄養患者9名(男性5名，女性4名），平均年齢83.3±8.7歳の経管栄養剤に硫酸銅3mg/day(銅として1.2mg/day）を連日，12週間加え，補充前と補充後4週および12週後の血清銅，血清セルロプラスミン，総コレステロール(TC），中性脂肪(TG），HDLコレステロール(HDL-C）の変化を検討した．栄養状態及び全身状態の変化と血清銅濃度に影響を与えるパラメータとして，血算，血清C-reactive protein(CRP），血清クレアチニン(Cr），血清亜鉛(Zn），血清アルブミン(Alb）の変化を同時に検討した．結果 血清銅およびセルロプラスミンは，銅補充4および12週後には有意に増加しほぼ正常化した．TC, HDL-Cは，有意な変化を認めなかったが，TGは，補充4週後に有意に増加した．12週後も増加傾向を認めたが有意差は見られなかった．CRP, Cr, Zn, Albは有意な変化を示さなかった．結論 高齢者の銅欠乏患者に銅補充をおこなったところ，一過性にTGが増加したが，TCとHDL-Cに影響はなかった．