静岡県下畑土壌から検出された昆虫寄生性線虫Steinernema sp.のコガネムシ類幼虫に対する殺虫性

1987 
静岡県浜北市内の畑地で採取した土壌から,コガネムシ類幼虫に強い殺虫性を示すSteinernema sp.が検出された。本線虫について,土壌害虫防除における有効性を検討するための基礎的実験を行った。実験には,コガネムシ類幼虫で継代維持して得た本線虫の感染態幼虫(JIII)を供試した。ペトリ皿とポリエチレン製カップを用いて,その中のろ紙,土壌あるいはバーク堆肥に線虫を接種し,その上にコガネムシ類幼虫を放飼した。供試した7種のコガネムシ類幼虫に対してはいずれも高い殺虫効果が示された。ドウガネブイブイ幼虫についてはJIII100頭以上の接種で効果が高かった。ハスモンヨトウの幼虫に対しても強い殺虫性が認められた。線虫接種後,死亡にいたる経過は,他のSteinernema属線虫で一般的に知られている経過に比べると長く,それはおおむね4日以上を要した。殺虫効果は17°C以上で現われ,15°C以下では供試虫の感染死亡は起こらなかった。JIIIの水懸濁液を5°Cで保存した場合,生存率の低下は急速で,20日目には10%以下となり,43日目で生存線虫はいなくなった。一方,10, 15°C保存では,100日以上経過しても生存率は95%以上を保ち,殺虫力も維持されていた。土壌やバーク堆肥中では,7°C保存,60日後において殺虫効果に変化はなかった。25°Cの場合も,10か月にわたって,高い効果が維持された。プラスチックコンテナーを用いての土壌に対するJIII施用試験から,効果の期待できる施用線虫密度は100万頭/m2以上であるとの結果が得られた。
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