USE OF RED CELL FRACTIONS lNCREASES THE SENSITIVITY OF STERILITY TESTING OF CORD BLOOD UNITS

2009 
【目的】 日本さい帯血バンクネットワークに所属しているバンクでは,安全で有効な移植用臍帯血を提供するため,種々の検査項目について全数検査を実施している.無菌試験もその1つであり,感染症防止の観点からも重要な検査項目であるが,用いるサンプルの種類と量および培地がバンク毎に異なっており,統一化が望まれている.そこで,臍帯血への混入細菌を高率に検出する方法を見出すことを目的として,臍帯血中の細菌が調製工程においてどのように分布するのかを検討し,その結果を基に細菌が多く分布する部位を無菌試験検体として用いた場合の細菌検出率の評価を行なったので報告する. 【方法】 1.臍帯血調製工程における細菌分布評価 京阪さい帯血バンクにおいて無菌試験で検出·同定された菌種並びに他のさい帯血バンクへの無菌試験に関するアンケート結果にその検出·同定が記載された菌種の中で,検出頻度が高く,かつ標準菌が入手可能であった7菌種((1)Escherichia coli,(2)Enterococcus faecalis,(3)Streptococcus agalactiae,(4)Bacillus cereus,(5)Klebsiella pneumoniae,(6)Serratia marcescens,(7)Proteus vulgaris)の菌を,各々対数増殖期において濃縮·小分けして-80°Cで保存し,実験の都度解凍して用いた.臍帯血原料血液に上記菌を各々104cfu/mlとなるよう接種してHES法による調製を行い,各工程の副産物(赤血球層,血漿層)および臍帯血最終標品中に含まれる細菌数を,コンパクトドライ「ニッスイ」(一般生菌測定用)(日水製薬)を用いて測定した. 2.臍帯血無菌試験結果(後方視的解析) 京阪さい帯血バンクで調製した臍帯血1,201本について,チオグリコール酸培地およびソイビーン·カゼイン·ダイジェスト培地に赤血球層をそれぞれ5.0ml接種した群(赤血球層群)と臍帯血最終標品0.5mlを接種した群(臍帯血最終標品群)について14日間培養後の無菌試験陽性率を比較した. 【結果および結論】 各菌の赤血球層,血漿層,臍帯血最終標品への分布は,(1)(92.1%,6.5%,1.4%),(2)(91.5%,1.5%,6.9%),(3)(88.1%,4.0%,8.0%),(4)(91.4%,1.0%,7.6%),(5)(98.3%,0.9%,0.7%),(6)(63.5%,19.8%,16.7%),(7)(10.5%,17.0%,72.5%)であり,(7)のProteus vulgaris以外の細菌の大部分は赤血球層に分布することが明らかとなった.また,無菌試験の陽性率については,赤血球層群は3.5%であり,臍帯血最終標品群の1.2%と比較して細菌検出率が約3倍向上した.以上のことから,臍帯血調製工程中に細菌の大部分が移行する赤血球層を無菌試験用の検体として用いることで,より高率に移植用臍帯血中の混入細菌を検出できることが明らかとなった.しかし,菌種によってはその動態が異なり,移植用臍帯血の半製品である臍帯血最終標品に多く分布する細菌(Proteus vulgaris)も確認されたこと,また,調製工程における無菌性担保の観点からも,移植用臍帯血の無菌試験用検体としては赤血球層と臍帯血最終標品の両方を用いることが望ましいと考えられた.
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