酸化マンガン(IV)共沈分離/ICP発光分光分析法による鉄鋼中の微量ヒ素,ビスマス,アンチモン及びスズの定量

2010 
鉄鋼中の微量ヒ素,ビスマス,アンチモン及びスズをICP発光分光分析法により定量するための分離・濃縮法として,酸化マンガン(IV)(MnO2)共沈分離法を検討した.試料溶液中の分析元素をMn(II)とMn(VII)の酸化還元反応によって生成したMnO2沈殿に共沈させ,主成分の鉄から分離した.沈殿はろ過により捕集し,ろ紙と共に硝酸–硫酸で分解後白煙処理により硫酸溶液としICP-OESで分析した.共沈時の酸は,As,Sb,Snに対して0.93 M硝酸溶液が,Bi,Snに対して0.45 M硫酸溶液が最適であった.試料中のクロムはMnO2の生成及び分析元素の共沈を妨害するが,Mn(VII)の添加量を2倍に増やすことでCr 5~7.5mass% 共存まで妨害を抑えることができた.本法により標準試料を分析した結果,認証値とよく一致した.但し,鉄以外の共存元素が合わせて5mass% 程度含む試料に対して行った添加回収実験では,As以外の回収率が90% 前後とやや低めになった.本法の検出限界(3σ)は4元素すべて1 ppm以下で,本法が低合金鋼中の微量(ppmレベル)のAs,Bi,Sb,Snの定量に有効な分析方法であることが分かった.
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