Diagnosis of Human Mental and Physical Conditions Based on Chaotic Analysis of Human Voices

2002 
発話音声をカオス論的手法により処理することで, 被験者に蓄積する疲労を定量的に評価することが可能と考えられる実験結果を得た。被験者による朗読音声を1秒間の時間幅で切断し, 毎秒の第1リアプノブ指数を計算し, その時間的な平均値をグラフとして描けば, 一般的な朗読音声による場合, 多くの被験者により朗読の継続と共にその時間的平均値の上昇が観測される。被験者に実験開始以前に十分な休息を与え朗読を開始させれば, その発話音声の第1リアプノブ指数の時間的平均値の上昇は, 被験者が疲労を自覚する十数分以前に観測される。また, 同様の実験結果として, 発話音声の第1リアプノブ指数の時間的平均値を算出する場合の時間幅を適切に設定すれば, 疲労の有無に加えて, 被験者のより詳細な心身状態の診断が可能と思われるデータを得た。30代の男性を被験者として行った1時間の朗読実験によるデータから, 被験者は, 疲労感により実験を放棄するまでに, 「初期的な緊張と緩和」「朗読への没入」「疲労倦怠の自覚」「強い疲労感」4つの異なるフェーズを経験したと考えられる。それぞれのフェーズにおいて, 第1リアプノフ指数時間的平均値は特徴的なパターンを描いて変化しており, 視覚的に4つのフェーズを識別することが可能である。発話音性による心身状態の診断は録音音声や放送音声に対しても有効であり, 例えば放送音声において特定の発話者の音声のみを取出して分析すれば, 時間の経過と共に第1リアプノブ指数の時間的平均値の上昇が観察されたり, 発話内容に対するストレスに対応すると考えられる変動が観察される。発話音声の第1リアプノブ指数値は脳の活性度を測る尺度になり得ると考えられ, 被験者の心身状態についても, その変化のようすから診断が可能と考えられる。
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