健康診断受診者におけるLp (a) 測定の意義についての検討

1994 
血栓性疾患や動脈硬化性疾患の独立した危険因子であるLp (a) を成人病健診受診者において測定し, 他の動脈硬化危険因子などとの関連性を検討し健康診断におけるLp (a) 測定の意義について検討した. 成人病健診受診者838名{58.8±11.6歳, 男: 263, 女: 575} を対象とした. Lp (a) 測定はLIA法で行い下記の結果を得た. (1) 対象群全体のLp (a) 値は10.9±7.2mg/dlで, 男性群 (10.3±7.4mg/dl), 女性群 (11.1±7.1mg/dl) であった. 男性, 女性群間には有意な差は認めず, 両性群それぞれで年代別の比較でも有意な差は認めなかった. (2) 合併疾患によるLp (a) の検討ではDM群 (n=12)10.5±3.7mg/dl, 非DM群 (n=826) 10.9±7.3mg/dlと有意差認めず, IHD群 (n=44) 12.3±8.5mg/dl, 非IHD群 (n=794) 10.9±7.3mg/dlで有意差を認めなかった. 高脂血群 (n=332) 11.4±7.8mg/dl, 非高脂血群 (n=506) 10.5±6.8mg/dlと高脂血群で高値傾向であった. 異常心電図群 (n=332) 11.6±8.4mg/dl, 正常心電図群 (n=663) 10.7±7.0mg/dlで有意に異常心電図群で高値であった. (3) Lp(a)と他の因子との関連性では, TC, βLp, LDLCとは正相関を示した. GOT, GPT, TTTと有意な負の相関を示した. (4) Lp (a) の Cut off 値による疾患の出現率の検討ではLp (a) 25mg/dl以上で異常心電図の出現率は有意に高値であった. 以上の結果から, 健診受診者における検討ではLp (a) と肝機能との関連が示され, Lp (a) とTC, βLp, LDLCとが正相関したことからLp (a) の atherogenic な危険性が指摘され, cut off 値25mg/dl以上で, 異常心電図の出現頻度が有意である事からLp (a) 値の危険域は25mg/dl以上と考えられた. これらの結果から健康診断におけるLp (a) 測定は有意義であるものと思慮された.
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