穿刺吸引細胞診による肝, 胆道, 膵癌の診断

1993 
超音波映像下に肝臓, 肝内胆管, 胆嚢, 膵腫瘍部, 膵管を穿刺し, 吸引細胞診を施行した. 対象症例は悪性腫瘍223例, 良性疾患179例の合計402例である.肝穿刺吸引細胞診は悪性腫瘍56例に行い, 45例に陽性であったが, 肝細胞癌の5例では根治切除術が施され, うち4例では細胞診が陽性であった.胆管内胆汁細胞診は悪性腫瘍120例に施行し, 71例の陽性を得た. 根治切除術を行い得た胆管癌の5例, 胆嚢癌の3例では細胞診はいずれも陽性であったが, 膵癌では12例中4例が陽性で, 乳頭部癌4例では全例陰性であった.胆嚢内胆汁細胞診は悪性腫瘍28例に施行し, 18例の陽性を得た. 胆嚢癌の6例に根治切除術が可能であったが, うち5例では細胞診が陽性であった.膵の腫瘍部穿刺は17例に施行し, 12例で吸引細胞診が陽性であった. 根治切除が可能であった3例の膵頭部癌ではいずれも細胞診が陽性であった.膵管穿刺は膵管閉塞のみられた膵頭部癌2例に行い, 膵管内膵液細胞診はいずれも陽性で, うち1例には根治切除術が行われた.良性疾患ではいずれの方法による細胞診でも全例陰性で, 誤陽性例は認めなかった.肝, 胆, 膵の穿刺吸引細胞診は根治切除の可能な早期の悪性腫瘍の確定診断にも有力な検査法であり, 一層の普及が望まれる.
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