内頸動脈狭窄症に対するAuditory Verbal Learning Testの臨床的意義について

2010 
内頸動脈狭窄症に対して,Auditory Verbal Learning Test(AVLT)を施行し,内頸動脈の病変側や合併する大脳白質病変の重症度,その他の神経心理学的検査との関連について検討した.対象は一過性脳虚血性発作や軽症脳梗塞で診断に至った症候性の内頸動脈狭窄症44名で,AVLTに加え,Mini-mental State Examination,Raven’s coloured progressive matrices,Frontal Assessment Batteryなどの神経心理学的検査を施行した.その結果,短期記憶,全即時記憶,言語学習能力,逆行性干渉など,AVLTのいずれの指標も病変側で差を認めなかった.また,側脳室周囲病変や深部皮質下白質病変の重症度が高いほどAVLTの成績は低下し,学習曲線は平坦化する傾向にあった.AVLTの成績はその他の神経心理学的検査の成績と正の相関を認めた.以上より,AVLTは,大脳白質病変を合併した内頸動脈狭窄症患者に関して,認知機能の低下をよく反映しており,高次脳機能スクリーニング検査の一つとして有用であることが示唆された.
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