上行弓部胸部下行にかけて hemiarch repair を用いた Stanford A型解離性大動脈瘤の手術治験例

1993 
症例は53歳男性で上行, 弓部, 胸部下行大動脈がすべて拡大した Stanford A型慢性解離性大動瘤脈に対し, 逆行性脳灌流法を用い胸部下行大動脈近位部まで含めた Cooley's hemiarch repair 術式を行い同時に胸部下行大動脈解離腔への tear を閉鎖した. 術後経過は良好で胸部下行大動脈解離腔に広汎な血栓形成がみられ一時的にDICを呈したが改善し胸部下行大動脈以下の手術適応は現在のところないと思われる. 広範囲A型胸部解離性大動脈瘤に対する外科治療は staged operation が一般的であるが今回胸骨正中切開のみで Cooley's hemiarch repair 術式という比較的小さい侵襲で臨床的に根治性が高い術式を行いえたので報告した.
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