醗酵法に依るアセトン及びブタノールの製造に關する研究(第2報の2) 醗酵生産物の定量分析に關する研究(其の2)

1942 
アセトン・ブタノール醗酵に於て生成せらるる物質中特にアセトン,ブタノール,エタノール,イソプロパノール,アセトイン,アセトアルデヒードの定量法に關し實驗せり.要約すれば下記の如し. (1) アセトンの定量法に關し,ヨード法,ヒドロキシラミン法を追試し,前者に於てはアンモニヤの混在更に他のソルベントの混在せる場合に就き,後者に於ては他のソルベントの混在の影響に就き檢したり. (2) ブタノール,エタノール混液の定量法に關し, JOHNSON氏及びCHRISTENSEN法を追試し前者に於てはブタノール,エタノール,アセトンの蒸溜滴定恆數を定め,且つ蒸溜管の徑の大いさによる影響を檢せり.後者に於てはブタノール,エタノール,アセトンの還元價を定め,混合試料に就き分析を施行せり.本研究にありては操作稍複雜なるも前者の方は好成績を示すを以て,醗酵液の分析には之を適當と認めたり. CHRISTENSEN法は實用に供するに際し今後尚檢討を要するものと認む. (3) アセトインの定量に關し,先づ純アセトインを合成し,その蒸溜恒數を求め,ヨード法による定量法を追試し,且つJOHNSON法に及ぼす影響を檢せり. (4) イソプロパノールの定量に關し,之を酸化後ヨード法に附する方法を探り,先づイソプロパノール單獨及びアセトン單獨の場合に就き酸化蒸溜し,その捕獲率を決め,次いで兩者の混合液に就き定量せり. (5) アセトアルデヒードの定量法に關し,リツパー法,友田法,山田法,ポンドルフ法を追試し特にアセトン混在の場合,ポンドルフ法の良好なるを認めたり. (6) エタノールの定量に關しKROPACSYの方法を追試し,該法に於けるアセトンの影響を檢せり. 本研究に當り御懇篤なる御指導を辱うしたる東大農學部教授坂口謹一郎博土,及び農學士故鈴木彰氏に深甚なる謝意と敬意を捧ぐ.又終始激勵賜はりたる前社長中野友禮氏,工場長木村忠實氏,部長大我勝躬氏に對し,尚今般研究發表を許可せられたる社長大和田悌二氏に對し謝意を表す. 本研究進捗に對し常に御鞭撻賜はりたる興國人絹パルプ株式會社常務理博小泉俊三氏に對し深甚の敬意を表す. 終りに當り當研究に終始努力せられたる近藤義廉君始め研究工員諸君に對し感謝の意を表す.
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