消化管における神経系と免疫系のクロストーク―“腸管イントラネット”という統合制御システム

2011 
生命維持のために外界から栄養素を吸収するという生命原則の根幹となる消化管は,生体三大機能制御系である神経系,免疫系および内分泌系が高度に発達した組織である.腸管におけるこれらの制御系は相互に密接な連関により“腸管イントラネット”を形成し,消化吸収機能を制御していると考えられている.生体と外界とのインターフェイスである消化管の粘膜免疫系には全末梢リンパ球の 60~70%が集積し,脊髄に匹敵する神経細胞をもつ腸管神経系と相互にクロストークをしながらそれぞれの機能を発揮している.ストレスが消化管の炎症・免疫性疾患に及ぼす影響は,経験的事実から分子メカニズムの解明へと進んでいる.さらに,多くの免疫細胞が散在的に分布している腸管粘膜には密な神経線維網が構築されており,免疫細胞と神経線維が近接している形態学的事実は“腸管イントラネット”が腸管機能を統合的に制御しているという仮説を支持している.
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