Two cases of heparin-induced thrombocytopenia in hemodialysis patients complicated by rheumatoid arthritis
2008
血液透析の抗凝固薬としてヘパリンが広く用いられており,透析導入時にヘパリン起因性血小板減少症(heparin induced thrombocytopenia;HIT)を発生した報告は多くみられる.今回われわれは,関節リウマチ患者で,血液透析導入時にHITを発症した2症例を経験したため報告する.症例1は73歳,女性.慢性腎不全・関節リウマチにて通院中であった.大腿骨頸部骨折のため当院入院となったが,腎機能増悪のため術前に抗凝固薬にメシル酸ナファモスタットを用いて血液透析導入となった.股関節人工関節置換術施行後,抗凝固薬をヘパリンに変更したところ,血小板減少と体外循環回路内の凝血を認めた.抗凝固薬を再度メシル酸ナファモスタットに変更したところ,血小板数は速やかに改善した.症例2は70歳,女性.慢性関節リウマチにて近医通院していたが,腎機能増悪のため血液透析導入となった.透析導入後,血小板減少・肝機能障害・深部静脈血栓・四肢循環障害が出現し,全身状態悪化のため当院へ転院となった.抗凝固薬をヘパリンからメシル酸ナファモスタットに変更したところ,血小板減少・肝機能障害は改善したが,下肢壊疽部感染から敗血症となり永眠された.肝・腎・大腿動脈には血管炎はなく,血管壁へのアミロイドの沈着を認めた.両症例とも抗ヘパリンPF4複合体抗体が陽性であり,HITと診断した.関節リウマチは,HIT抗体を産生しやすい病態である可能性があり,透析導入の際にはHITの発症に注意する必要がある.
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