抗CTLA-4 抗体療法による下垂体障害

2017 
免疫チェックポイント阻害薬を用いたがん免疫療法は,種々の進行・再発悪性腫瘍で有効性が示されてきた.一方,本薬剤では,免疫機序を介すると考えられる免疫関連有害事象(irAEs)の発生が問題となっている.内分泌障害は比較的頻度が高く,細胞傷害性T 細胞抗原(CTLA)-4 に対するモノクローナル抗体であるイピリムマブによる治療を受けている患者の5~10%程度で下垂体障害が発生することが報告されている.これらの症例は下垂体前葉機能障害および下垂体腫大を呈することから,臨床的には下垂体炎と考えられる.抗CTLA-4 抗体による下垂体炎は,副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の分泌障害が多く認められるため,診断が遅れると副腎クリーゼとなりうる重篤な副作用である.本稿では,抗CTLA-4 抗体による重篤な副作用で,比較的頻度が高い下垂体炎について臨床的特徴および対処法を解説し,その病態について考察する.
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