Spiral Wave during Ventricular Fibrillation

2009 
心室細動は,心室筋が非同期的な痙攣状態となり,収縮 力を失って心拍出量がゼロとなる.そのメカニズムとし て,機能的な興奮旋回(機能的リエントリー)が重要な役 割を果たすと考えられている.機能的リエントリーの機序 として有力な仮説の一つが,コンピューターシミュレー ションなどから導き出された渦巻き興奮波を呈するスパイ ラルリエントリー説である.これらを検証するために,光 学的マッピングにより,詳細な細動波の動態を観察した. 雑種成犬の右室切り出し標本を観察槽に固定し,右冠動 脈より組織液で還流し,電位感受性蛍光色素(Di-4ANEPPES)で染色する.心筋が脱分極して活動電位を呈 すると電位の上昇に応じて蛍光を発する.これをハイス ピードCCDカメラで記録し,興奮波を可視化する.心筋 に電気刺激を加え,心室細動を誘発して電位を記録した. 図 1は,1フレーム 4ミリ秒毎(全部で 28 ミリ秒)の 連続画像を示す.オレンジで示す部分が脱分極をしている 興奮波であり,青い部分は非興奮心筋である.黄色は心筋 組織の縁(エッジ)であり,黒は組織外エリアである.あ たかも☆印で示す部分が中心になり,その周りをオレンジ で示される大きな渦巻き状の興奮波(spiral wave)が矢 印の方向へ回旋する様子が認められる.この「興奮中心 (☆)」はメリーゴーランドの心棒のように固定的なもので はなく,台風や竜巻などのように時々刻々移動し(“さま よい”meandering 現象),興奮波は分裂,衝突して複雑 な波形を呈した. これらの知見は,心室細動のメカニズムとしてのスパイ ラルリエントリー仮説を示唆するものであった.
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