純粋型自律神経不全症の下痢,腹痛,尿閉,起立性低血圧に桂枝加芍薬湯が奏効した一例

2011 
純粋型自律神経不全症(PAF)は多彩な自律神経症状を伴う変性疾患の中で,体性神経症状を伴わない疾患である。今回我々はPAFに対して桂枝加芍薬湯が奏効した症例を経験した。症例は下痢,腹痛,排尿障害,起立性低血圧を主訴とする61歳,男性である。安静時の血漿ノルアドレナリンが低値で,123I MIBG心筋シンチグラフィーで高度びまん性交感神経機能障害が示唆され,PAFが強く疑われた。種々の漢方薬を投与したが,無効ないし継続困難であった。尿閉に対しては自己導尿を行った。桂枝加芍薬湯エキスの投与により,下痢や腹痛の頻度が減少し,食事も摂れるようになっていった。次第に活動範囲も広がり,自尿も得られたため導尿を中止できた。5年後に自律神経機能の低下を認め,臨床的にPAFと診断したが,日常生活の活動性は低下していなかった。本症例のような多彩な自律神経症状を呈する疾患に対して,桂枝加芍薬湯は有用な治療手段となり得る可能性が示唆された。
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