A CASE OF AUTONOMIC HYPERREFLEXIA: WITH SPECIAL REFERENCE TO THE DISTURBANCES IN THE CARDIOVASCULAR REGULATION

1978 
結核による脊椎破壊のため,頚髄以下の脊髄横断症状および特異な血圧異常を併発した症例を呈示し,併せて本症における交感神経機能について検討を加えた.症例は53才の女子で,肺および脊椎結核のため, 20年来療養を続けてきたが, 1~2年前から著明に動揺する高血圧を認め,また,上半身を起こすと急峻な血圧低下を来たし,時にショック症状を呈した.昇圧発作は,膀胱内圧の上昇や麻痺部に対する寒冷・触刺激により容易に誘発され,ノルエピネフリン(NE)静注に対して過大な昇圧反応を示した. 24時間尿中カテコラミンおよびVMA排泄量は正常下界値を示した.血中NE濃度は血圧の変化と有意の相関を示したが,いずれも低値ないし正常範囲内の値であつた.血中エピネフリン濃度および血清dopamine-β-水酸化酵素活性はともに低値を示し,血圧との間に有意の相関は認められなかつた.本例に認められた高血圧発作および体位性低血圧はともに少量のフェノキシベンザミンの投与により著明に抑制された.本症は,交感神経系が中枢性および末梢性機序により,循環機能の維持に重要な役割を担つていることを明示するが,これらの交感神経機能の異常を検索する上で,血中カテコラミン濃度は最も信頼性の高い指標と考えられた.
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