分泌性ホスホリパーゼA2 と炎症性疾患─炎症性疾患における細胞外リン脂質代謝の生理的意義
2018
かつては,分泌性ホスホリパーゼA2(sPLA2)は炎症細胞に発現誘導され,アラキドン酸を動員することにより炎症を増悪すると考えられてきた.しかし,sPLA2ファミリーの遺伝子改変マウスの解析が進んだ現在,各種sPLA2が細胞外リン脂質の代謝を介して脂質メディエーターの既成概念からは予想もつかないさまざまな病態生理機能を担うことが明らかとなってきた.各sPLA2アイソザイムは組織固有の発現分布と特有の基質リン脂質に対する選択性をもち,さまざまな脂質代謝様式によって生体応答を多様に調節する.sPLA2は炎症性疾患を増悪するだけでなく緩解にも導く.sPLA2を起点とする脂質経路は炎症性疾患のバイオマーカーや創薬標的となりうる.
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