Cardiovascular stability in low temperature dialysis

1984 
低温度透析液による血液透析が, 心循環系の安定性に関して優れていることは, すでに報告されている. 我々はこの透析液温度の心循環系に及ぼす影響をみるために, 常温透析との比較を試みた. 方法は慢性血液透析患者9例に対し, 34℃の低温透析と37℃の常温透析の交叉試験によった. また透析開始後および後半の透析そのものによる種々の影響を除き, 透析液温度のみの効果をみるために, 透析開始後20分間は常温透析によるcontrol期間, 以後60分間を常温透析または低温透析の比較期間とした.測定は心拍出量, 心拍数, 平均血圧, 総末梢抵抗, 血中ノルエピネフリン測定を10分毎に行った. また環境温度, 特に室温が体外循環血液温度に及ぼす影響をみるために, 牛血を用い室温14℃と25℃の場合の体外循環温度を測定した.結果, 心拍数は両透析で上昇するが, 常温透析でより高値であった. 心拍出量は常温透析で変化なく, 低温透析で有意に低下した. 平均血圧は低温透析で変化はなく, 常温透析で低下した. 総末梢抵抗は常温透析では変化なく, 低温透析で有意に上昇した. 血中ノルエピネフリンは両透析で上昇したが、 両透析の間で有意差はなかった. 環境温度の影響では室温14℃では、 透析液温が34℃, 37℃の場合でも, 透析器血液流入部と流出部の温度差は-4--5℃であったが, 室温25℃の場合では, 透析液温が37℃のとき, +0.4℃と上昇した.以上のことより, 低温透析による心循環系の安定性はTPRの上昇によるものであり, その作用機序は少なくとも透析前半ではカテコールアミンには関係のないことが判明した. また低温透析を施行する場合には, 透析液温だけでなく, 他の環境温度にも注意しなければならないことがわかった. 結論として, 低温透析は, 常温透析に比べ, 心循環系の安定性を増し, 無症候透析という面から, 有用性があると考えられる.
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