肺癌放射線化学療法後の続発性気胸に対し,瘻孔内フィブリン糊/PGAフェルト充填法が奏功した1例

2012 
症例は73歳男性.左下葉の扁平上皮癌(S9-10,cT2aN2M0)に対し放射線化学療法が行われた.放射線治療として原発巣に50.0 Gyが照射され,化学療法にはカルボプラチン+パクリタキセル療法が選択された.約3ヵ月後に左下葉全体の放射性肺臓炎(線維化)を,約4ヵ月後に左気胸を認めた.胸膜癒着療法では軽快せず,手術の適応とした.手術所見では,原発巣に一致して直径1 cmの胸膜欠損(瘻孔)を認めた.付近の肺実質は硬く臓側胸膜は脆弱であった.肺縫縮術や肺部分切除術などの定型的な気胸手術は困難であった.姑息的手術として①瘻孔内にフィブリン糊と細断したPGAフェルトを充填(瘻孔内フィブリン糊/PGAフェルト充填法),②臓側胸膜の直接縫合,③修復部の補強を行った.①は臓側胸膜側からの充填法である.肺実質や臓側胸膜が脆弱であり,定型的手術が困難な場合,瘻孔内フィブリン糊/PGAフェルト充填法は治療法の一つになりうると思われた.
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