セツキシマブ(アービタックス®)注射液100 mgの薬理学的特徴および臨床試験成績

2009 
セツキシマブ(アービタックス®)は,米国で開発された,EGFR(上皮細胞増殖因子受容体)を標的とするIgG1サブクラスのヒト/マウスキメラ型モノクローナル抗体である.本邦では,2008年7月に「EGFR陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」を適応症として承認された.セツキシマブはヒトEGFRに対して高い親和性で結合し,多様なEGFR陽性癌細胞株に対して濃度依存的なin vitroでの増殖阻害作用を示し,また,in vivoの系においてEGFR陽性癌細胞株(ヒト結腸癌GEO等)で増殖阻害作用が確認されている.その作用機序としては,EGF,TGF-αなどの内因性EGFRリガンドの結合を阻害することで,細胞増殖,細胞生存,細胞運動,腫瘍内血管新生および細胞浸潤など,腫瘍増殖・転移に関与する多くの細胞機能を抑制し,抗腫瘍効果を発揮することに加え,細胞表面上のEGFRのダウンレギュレーションを誘導し,受容体シグナルの減少をもたらすことや,抗体依存性細胞傷害(ADCC)も作用機序として考えられており,in vitroにおいてそれら作用機序の存在を示唆する結果が得られている.また臨床効果においても,EGFR陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌に対して,化学療法との併用投与および単独投与での国内外で臨床試験により有効性が示されており,副作用も忍容可能なものであった.昨今ではKRASの変異と効果の相関を示す追加解析の結果が発表されており,いずれもKRAS野生型にて上乗せ効果が認められており,今後,医療の個別化を考える上で非常に興味深い結果といえる.
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