潮岬海底谷に露出する南海トラフ分岐断層付近の付加体堆積物の構造・組織・物性と流体移動

2010 
「しんかい6500」による潜航調査から南海トラフ分岐断層付近の構造・物性・組織プロファイルを得た.地層は4.3 Ma以降の堆積年代をもつ南傾斜・南側上位の重力流堆積物からなる.分岐断層は下位の付加体堆積物を上位の海溝斜面堆積盆堆積物へ衝上させる.南側へ小さくなる間隙率と泥質岩に発達する平面型組織は地層がテクトニックな側方圧縮と剪断を受けたことを示唆する.断層の上位で堆積物の一軸圧縮強度は顕著に大きくなる.方解石膠着物が大きな強度を担っている.断層上位の透水性のよい砂岩層は炭酸塩に飽和した流体移動の流路となって方解石が沈殿した.この過程は現位置に近い付加体内で生じた.膠着作用によって強度が増加したリッジ前縁部は,陸側のinner ridgeに対してはindenterとして,海側のouter ridgeに対してはbackstopとして作用し,リッジ前縁部の前後に対称的な変形様式をもたらしたであろう.
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