副腎白質ジストロフィー(ALD)に対する遺伝子治療―遺伝性神経疾患の遺伝子治療

2011 
X 連鎖副腎白質ジストロフィー(X-linked adrenoleukodystrophy:ALD)は ABCD1 遺伝子の異常により発病する X 染色体劣性遺伝子疾患で,中枢神経系の進行性脱髄を引き起こす変性性神経疾患である.中枢神経病変の遺伝子治療において問題となるのは,治療用遺伝子を運ぶベクターをいかに血液脳関門を通過させるかということである.ひとつは骨髄移植を利用した方法で,近年レンチウイルスベクターにより造血幹細胞へABCD1 遺伝子を導入し,ALD の男児へ移植したところ,中枢神経症状の進行を抑えることが可能であった.著者らは神経細胞に高率に遺伝子導入が可能なアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを用いた中枢神経病変の遺伝子治療法の開発を行っている.本稿では ALD の遺伝子治療とともに,新生児遺伝子治療を含めた AAV ベクターを使用した中枢神経病変の遺伝子治療のアプローチを紹介する.
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