同時性肝転移に対して動注化学療法が著効したAFP 産生胃癌の1 例

2009 
AFP 産生胃癌は,肝,リンパ節転移が多く予後不良であり,集学的治療にもかかわらず平均生存期間が1 年前後であるという報告が多い。今回AFP 産生胃癌の同時性肝転移に対し,動注化学療法が著効した1 例を経験したので報告する。症例は65 歳,女性。II型胃癌に対し幽門側胃切除を施行。L,type 2,5.5×2.4 cm,tub 2>por 1,pT2(MP),int,INF b,ly2,v1,pN1,pPM(−),pDM(−),pH1,stageIV。術前後のAFP 値は801.4 → 65.8 ng/mL と低下し,画像検査からAFP 産生胃癌,同時性肝転移(S4 単発)と診断。術後1 か月後より動注化学療法として5-FU+epirubicin+MMC(FEM)を開始するも,CT にて肝内に複数のnew lesion(S4,S5)出現のため術後4 か月後よりDSM 療法の方針とし,MMC 10 mg,DSM 300 mg 肝動注を施行した。dynamic CT にてS4,S5 の腫瘍ともに縮小し,術後5 か月目より肝動注化学療法FP 療法(CDDP 5 mg+5-FU 250 mg weekly)を開始し,14 か月間合計45 回施行した。治療の経過中肝転移はCR となり,腫瘍マーカーも正常化した。肝リザーバーからの造影にて肝動脈の狭小化と脾動脈への造影剤の流入を認めたため,動注は中止とした。その後,術後20 か月目よりS-1(100 mg/day: 4 投2 休)を開始し,3 コース目からは(50 mg/day: 4 投2 休)とし6コース目を施行中である。現在,術後2 年4 か月無再発生存中である。AFP 産生胃癌の肝転移に対して,動注化学療法が有効な治療となり得る可能性が示唆された。
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