【目的】当院で経験した11例の紡錘形細胞脂肪腫(SCL)の臨床像,MRI所見,病理組織像を検討する.【対象と方法】2012年6月から2019年11月までに病理組織学的にSCLと確定診断された11例(男性6例,女性5例,平均年齢58.6歳)を対象に,発生部位,MRI所見,免疫染色の特徴,再発の有無を調査した.【結果】発生部位は後頚部4例,膝部3例,肩,上腕,手掌,大腿部が1例ずつで,局在はすべて皮下であった.MRIは全例で施行され,腫瘍の脂肪含有率は25%未満が1例,25-75%が9例,75%以上が1例であった.造影MRIを施行された6例中5例で非脂肪成分に造影効果を認めた.全例で辺縁切除術を施行し,再発は認めなかった.免疫染色ではCD34は全例陽性で,10例で行われたMDM2は全例陰性であった.【結論】SCLの臨床像,画像所見は多彩であり,確定診断には免疫組織学的検査が有用であると考える.