要旨 【目的】 救急科専攻医は,地域的な偏在だけでなく研修プログラムごとの偏在が示唆されているが,その要因はわかっていない。本研究の目的は救急科専攻医のプログラム選択に寄与する因子の分析である。 【対象】 対象はプログラムを有する救命救急センターで,2019年の一次応募者の有無を目的変数,2018年の救急科専門医数(以下,専門医数),同年の救急車搬送台数(以下,搬送台数),第46回日本救急医学会総会・学術集会での発表数(以下,発表数),Facebook運用の有無を説明変数として,大学病院群と非大学病院群に分け,ロジスティック回帰分析を行った。 【結果】 対象となる救命救急センターは167あった。一次応募者数の合計は198人で,中央値1,最頻値0,最大値8であった。応募のあるプログラムは92(55.09%)であった。大学病院群(N=62)では,発表数はodds比1.24, 95%信頼区間:0.99–1.55,p=0.058であり,非大学病院群では専門医数はodds比1.19,95%信頼区間:1.00–1.41,p=0.04,搬送台数はodds比1.00,95%信頼区間:1.00–1.00,p=0.04であった。 【結語】 非大学病院では専門医数と搬送台数が,大学病院では発表数が,プログラム選択に寄与している可能性がある。